官能小説 家庭内盗撮の妄想

官能小説

 

恥辱の通過儀礼(8)

― 愛する人とひとつに ―



 祐一の指嬲りで絶頂を極め、腕の中で全裸のまま脱力している美子。どこか幼さの残る面差し、小ぶりな胸の膨らみ。それらの乙女らしさと対照的に、ぐっと張り出した腰つきと、しどけなく開いた下半身には女の艶めかしさが漂っている。

 彼の股間は、雄々しく猛ったままだ。早くひとつにつながりたい。だが一方で、簡単に果ててしまうのが惜しい気もする。美子にもっともっと快楽を味あわせ、女としての悦びを教えたい。そうする事が自分にとっても、歓びになろうとしている。

 力が入らない様子だった両脚が、ひざを擦り合せるようにして閉じられた。よかった。本気で痴態を他人に見せつけて、女として破滅させたい訳ではない。燃え狂わせたいだけなのだ。桜色に火照った頬に、祐一はそっと手のひらを重ねた。




「すごいな、全身、汗だくじゃないか。風呂で体を洗おうよ」
 荒く切なげだった美子の呼吸が、やっと落ち着いてきた頃を見計らい、祐一は美子をバスルームの方を振り返る。
「祐一さん、早くストッキングをほどいて下さい。お願い」

 美子は両ひざを胸元に引き寄せ、外の視線から羞恥の源だけは隠そうとしている。それでも、カーテンを引いてとは口にしない。祐一が望んでいないとわかっているのだ。その従順さ、いじらしさに、股間の充血がいっそう昂ぶって来る。

「いや、そのままでいい。こっちにおいで」
 手を貸してやり、裸の美子をその場に立たせる。パンストに括られた先の手は温かく、今のところ血行不良の心配はないようだ。元々が弾力性に富んだ素材だし、力任せには縛っていない。

「あぁん、恥ずかしい・・・」
 姿勢が高くなると、腰を下ろしていた時以上に、外から丸見えになってしまう。小走りに体の脇をすり抜け、奥へ逃げ込もうとするのを、祐一の腕がすかさず抱き留める。

「後ろの方までこんなにベトベトだ。よほど良かったんだ?」
 尻たぼに掛けた両方の手をぐいと開き、肛門周辺に指を進める。
「いやっ・・・見られちゃう・・・やめて、お願い・・・」
 括られた手で何とか邪魔しようとするが、祐一は許さない。

「ケツの穴の奥まで、しっかり覗いてもらおうな」
 下卑たその物言いに、女体におののきが走る。頬を胸板に埋め、晒し者になる恥辱に耐えているその姿。そんな美子の横顔を見下ろしていると、もっといじめてやりたくなる。

 最初は、すぐにバスルームに連れてゆくつもりだった。それが、美子の恥じらう様子を目にすると、嬲りたい気持ちに逆らえなくなる。表情、声、仕草。本人が意識しているかはわからないが、男のサディズムを掻き立てる媚態を、彼女は確かに持っている。

「あうぅ・・・許して・・・」
 片手で背門を晒しつつ、もう一方の手を体の前に回し、粘り気の強い蜜を含んだ淫裂に、指をずぶりと挿し込む。
「嫌だと言う割には、この蕩け具合は何なんだ?」

 真っ昼間に全裸で手を括られ、外から丸見えの部屋で、男に羞恥責めを受ける。例えば露天風呂で、素肌や乳房を見られるのと違って、普通の体勢では決して他人の目に触れる筈のない女陰、そして排泄器官をさらけ出される。その辛さ、恥ずかしさ。

「早くバスルームに連れてって・・・お願いだから・・・」
 美子は、もう涙声になっている。吹き込んで来た夏の風が、引き戸の脇に寄せてあるカーテンを、ふわりと持ち上げた。室内の様子よりも、このはためきが先ず人の目を惹くに違いない。

 本当に誰かに見られたら、美子がかわいそう過ぎる。こんな心配は、過去に弄んだ他の女の誰に対してもしたことはない。訴えられては困るので、あんまりな事はしないが、それは自分の都合であって、相手の女性を気遣っての気持ちとは違う。

「ごめんな。ちょっとやり過ぎた」
 美子の体を離し、引き戸のカーテンを真ん中で閉じた。瞳に涙をにじませた美子の顔に、安堵の表情が浮かぶ。祐一は包み込むように唇を重ね、白く輝く裸体をそっと抱き締めた。




 ひとり暮らし用の部屋なので浴室は狭いが、二人一緒に入れない程ではない。バスタブの手前の洗い場に立ち、祐一は後ろ向きにした美子の背中に、シャワーの水をぶつけた。両手を結わえ付けたパンストはそのままだ。

 祐一自身も、既に服を脱いでいる。ポニーテールに束ねた髪を濡らさないように気遣いながら、ひとしきり全身の汗を流してやる。最初だけは水の冷たさに、体がビクンと震えた美子だったが、その後はうつむいて、されるがままに身を任せている。

 足元のプラスチック容器から石けんを手に取り、しっかりと泡立てた。肩から背中、わき腹を手のひらで擦るように洗ってゆく。
「自分で出来ますから。祐一さん、ほどいて下さい」

 振り返ろうとするのを押しとどめて、尻をこちらに向けさせる。
「いいから、任せておきなって。さあ、もう少し脚を開いて」
 腰の周りを軽く撫でてから、太ももへと手を下ろす。濡れた肌に、きめの細かい泡を両手で入念になすり付けてゆく。

 モダンのダンサーらしく引き締まった後ろ姿だが、体操やフィギュア選手のような、まったく無駄がないアスリート系の肉体とはちょっと違う。皮膚の下の脂肪の層が、体全体に程よい丸みを与えていて、女らしい輪郭を作っている。

 爪先、ふくらはぎ、ひざの裏と、柔肌のピチピチ感を確かめるように、きゅっきゅと擦る。女の体を洗ってやるなど、これまで考えたこともなかった祐一だが、実際にしてみると奇妙な興奮がある。美子の体だからかも知れないが。

 白桃を思わせる尻肉。感触を存分に楽しんでから、双丘を割り開く。あわいに息づく鈍色の蕾にも、しっかりと石けんをまぶす。
「あぁん・・・そこは・・・」
 秘めやかな排泄器官に指先が触れる。美子の声が震える。

 片ひざを床につき、菊の花びらの周囲を親指の腹でなぞる。円を描くような動きの繰り返しの中、時おり中心をぐいと揉み込む。
「そこは汚いの。だから・・・自分でさせて。お願い・・・」
 恥じらうその姿が、本当に初々しい。

「ミーコに汚いところなんかないって、言ってるだろ。こっち向いて」
 小ぶりな乳房の中心で、乳頭がつんと尖っている。たっぷりと立てた泡を手に取って、鎖骨辺りからまんべんなく塗り付けてゆく。
「・・・ぅうっ・・・ぁん・・・」

 乳首を指で挟みつけ、石けんを擦り込む。乳房を覆うように押しつけた手のひらを滑らせて、乳頭の先っぽを上下左右にぐりぐりと押し潰すと、美子の唇から可愛らしい喘ぎが漏れた。
「じゃ、次はここに座ってくれる?」

 湯の張られていないバスタブ。後ろ手に戒めを受けたまま、美子はひざをぴたりと閉ざして、その縁に腰掛ける。
「石けんで洗うんだから、脚を開いてくれないと」
「いやっ、自分で洗えます。お願いだからほどいて・・・」

 これまでに抱かれた男は、ひとりだけ。ならば、男の目の前で股ぐらを開いたことはないのかも知れない。愛撫という形ならまだしも、二人ともが冷静な状態で、陰部を観察され、指で性感帯をいじられるのは、抵抗があって当然だろう。

「ミーコ、ぼくの言う通りにして。体を洗うだけだから」
 シャワーで洗い流した上半身の泡が、皮膚を伝って下腹の辺りに落ちてゆく。隙間なくくっついた両方の太ももと、贅肉のない下腹がつくる三角錐がそれを受け止める。

 股の間を、他人の手で洗われる ―― そのためだけに、脚を開くのが恥ずかしいのだろう。それならと、洗ったばかりの乳首に吸い付き、舌で転がしてやる。美子の肌の匂いが、石けんに含まれるハーブの芳香と合わさって、まろやかさを増している。

「ぅあん・・・あぁっ・・・」
 美子の唇から、喘ぎが漏れ始めた。乳首を咥えたまま見上げると、眉間にしわを寄せ、快感をこらえている風情。どこか幼さの残った面差しに不似合いな妖艶さを、その表情に宿している。

 内ももに挿し込んだ手で股をこじ開けようとしてみるが、ひざはぴったりと閉ざされたまま。水底で妖しく揺れる陰毛を掻き分け、肉芽にそっと触れる。親指と人差し指で皮を剥き、細かく振動させた逆の手の指で、突起の先端を愛撫する。

「ほら、大丈夫だから、脚を開いてごらん」
 祐一が再び手に力を込めると、軽い抵抗の後に太ももが分かたれ、ワカメ酒のような状態で股間に溜まっていた水が、足元にこぼれ落ちた。すかさず、上半身をひざの隙間に割り込ませる。

「あっ・・・いやぁ・・・そんなとこ・・・」
 両ももをぐいと押し開く。淡い逆三角形の陰毛の下に色素の濃い部分があり、その中央に程よい厚みの陰唇が口を閉ざしている。
「きれいだ、ミーコ。もっとよく見せてくれ」

 シャワーで石けんをさっと流してから、舌でクリをひと舐めした。
「もしかして、こうして間近に見られるのって、初めてかな?」
 恥ずかしさに耐え切れないという風情で、美子はこくんと頷く。初体験の相手は、膣にぶち込んだだけということか。

 性器の周囲にも縮れ毛は生えているが、全体に薄い方だろう。寄り添い合った鈍色のラビアを左右に引き剥がすと、その隙間からピンク色の肉層が現れる。ひだを掻き分け、顔を近づけてみた。花蜜の濃厚な匂いが、鼻腔を突いて来る。

 つい先ほど、外から丸見えのリビングでアクメを味わった。その時に垂れ流した愛液の残滓を、冷めた目で観察される屈辱。祐一はわざと中心部には触れず、陰唇の脇の肉を外側に引っ張って、牝穴の構造を意地悪く視姦してゆく。

「どうして欲しいんだ?」
 乙女のたしなみを忘れ、男の眼前に膣の内側まで晒されている。その淫らさ、破廉恥さにおののきつつ、美子は天井を仰ぐ。
「いやっ・・・お願い、許して・・・」

「じゃあ、こうして見ているだけでいいのかい?」
 熱く苦しげな吐息。子馬の尻尾が左右に揺れる。
「素直になっていいんだよ、ミーコ。本当はどうして欲しい?」
「ああっ・・・な、舐めて下さい・・・あぁ、いやぁ・・・」

 クンニという言い方をまだ知らないのか、生々しい表現だ。
「洗ってもらうために、脚を開いたんだろう。でも、まあいいか」
 卑猥な願いを口にしたことで、女の官能が蕩け始めている。外周をぐるりと舐めてから、舌先を勃起した陰核に這わせる。

「あぁっ・・・ぅうん・・・」
 首をぐらつかせつつ、艶かしく喘ぐ女体。手を離しても、もう脚を閉じようとする気配はない。背中を手で支えつつ、牝壷の奥に尖らせた舌を挿し込むと、樹液が肉ひだの間からにじみ出して来る。

「舐め取っても、後から後から湧いて来る。ホントにいやらしいな」
 会陰を舌でくすぐる。粘っこい蜜をすくい取り、女の鼻先に示す。
「・・・あぁ、どうしよう・・・こんな事されたら、また・・・」
 前にせり出そうと蠢いていた腰が、はっとして動きを止める。

 女壷の奥に沈んだ指が、官能のありかを探り当てる。
「あっ・・・ぁあっ・・・ああぅ・・・」
 程よい肉づきの太ももに震えが走る。よがり声が徐々に上ずって来たのを見計らい、祐一は唇を陰部から離した。




「ぁぅう・・・ど、どうして?・・・」
 催促めいた言葉を口にした自分を恥じてか、美子の顔が朱に染まる。祐一は立ち上がって、勃起した男根をその頬に押しつけた。
「今度は、ミーコがしてくれよ」

 どぎまぎした様子で、視線を逸らす美子。男性器を直視する事への抵抗は当然あるだろうが、それだけでもなさそうに見える。
「ぼくのを口でするのは、嫌なのか?」
 後ろ頭を掴み、先端を朱唇になすりつけるように動かす。

「違う。そんな事ない。でも、どうしていいか・・・」
 祐一の顔を見上げて、美子は困惑の表情を浮かべた。
「ひょっとして、フェラチオも経験ないのかな?」
 恥じ入るようにうなずく美子の肩を抱き、唇に軽く指で触れる。

「嬉しいよ。ここのバージンが、ぼくのものだなんて」
 感触を確かめるように重ねた唇がすぐに離れ、見詰め合う二人。
「ねえ、どうすれば、あなたは気持ちいいの? 教えて下さい」
 ひたむきさを宿した黒い瞳。心に温かいものが満ちてゆく。

 手を貸して美子を立たせ、背中で縛った手首をほどいてやる。水に濡れたパンストは、なかなか結び目が解けない。
「ごめんな。痛かったろう?」
「ううん、大丈夫・・・ありがとう・・・」

 美子にどうして惹かれるのか、少しだけわかった。彼女は、全部を信じてくれている。「辱める事こそが自分の愛の形」などというのは、責める側の勝手な言い草だ。しかし、心と体を委ねられることで、それは本物の愛に浄められてゆくのかも知れない。




 浴室の床に正座した美子の顔が、前に立つ祐一の股間に近づく。勃起した男根を間近に見るのは、初めてなのだろうか。
「じゃあ、ここを舐めてみてくれるかい? うん、そんな感じで」
 女の舌が尿道口に触れ、続いて亀頭全体をねぶり始める。

「裏の方も・・・そう、上手いよ」
 指示に従って、女の舌が裏筋を入念に舐め上げる。ぎこちない動きが、こました女達の濃厚な口唇奉仕に慣れた祐一には却って新鮮で、それだけで男根がびくんびくんと下腹を 打つ。

 キノコの傘の裏側も、首を回しながら丹念に舌を這わせてくれる。うっとりと目を閉じて愛撫を続ける姿に、愛おしさが募る。
「今度は口を大きく開けて、先っぽを呑み込んでごらん」
「はい・・・でも、とっても大きいから・・・」

 温かい口内粘膜が、猛り立った肉棒を包み込む。誘導されるままに、美子は亀頭に舌を絡めて来る。
「そのまま唇とほっぺたをすぼめて、前後に動かせるかい?」
 要望に応えて、どことなく不器用なストロークが始まる。

「痛っ・・・歯を当てないでくれるかな。唇で包むようにして」
「・・・んぐぅ・・・ごめんなさい・・・こんな感じかしら?」
 吐き出しては、また咥え込む。亀頭と唇の間に掛かった唾液の橋が、美子の一生懸命さを表しているようだ。

「今度は、もっと奥まで呑み込んでみて。うん、そんな感じ」
 これでいいの? そう尋ねるように祐一を見上げる表情が、抱きしめたくなるほど愛らしい。微笑み掛けてやると、嬉しげに再び肉竿を口腔深く沈ませる。

 美子がフェラチオ・バージンだったのは、技巧とも呼べないほど未熟な舌遣いと、ぎこちないその手つきから実感できる。
「下に垂れてる袋を、揉んでくれるかな? ごく軽くね」
 即座に応じてくれる素直さに、興奮が徐々に高まって来る。

 手荒いことをしてはいけない。ゆっくりと慣らさなくては。そうは思っても、高まりゆく征服感に、つい頭を掴んで腰を前後に振ってしまう。肉棒を咥え込み、祐一を苦しげに見上げる美子。しかし、何とかその律動に応えようと、さらに頬をすぼめてくれる。

 肉体的な刺激だけでなく、歯を当てまいとする気遣い、できるだけ奥まで怒張を受け入れようとする健気さが、より大きな満足を連れてくる。ああ、この女のすべてを、自分のものにしたい。
「このまま、口の中に出すよ。いいかい?」

 声が常ならぬ興奮に震える。美子は不安そうに祐一を見やったが、すぐに目を閉じてフェラチオに没頭する。その横顔に、満足げな表情が浮かぶ。唇を性器として扱われるのを、屈辱と受け取る女もいれば、男の快感を自分の悦びにできる女もいる。

 肉竿を抜き挿しするたびに、くちゅくちゅと音がする。唾液をたっぷりと含んだ美子の口は、えも言えぬ心地よさだ。性的に未成熟な娘に淫技を仕込み、自分の色に染め上げてゆくこの快さ。
「ああっ・・・いいかっ・・・出すぞ!」

 性感の高まりとともに、徐々に引き絞って来た内なる梓弓。その極限まで張り詰めた弦を、祐一は一気に解き放つ。
「ぅうっ・・・うぐぅ・・・」
 女ののど元から、苦しげな呻き声がこぼれる。

「おぉぅ・・・飲むんだ、そのまま飲んでくれ!」
 二度三度、繰り返される発作。受け止めた男の精を、美子は懸命に飲み下す。苦悶の表情が、まるで化学変化のように、恍惚に取って代わる。この上ない美しさだと、祐一は心からそう感じた。




 愛する者同士がひとつになる ―― 体だけなら簡単なこの事が、心までもと考えると、途端に至難になる。男と女、そして違う生い立ち、違う個性。相手の悦びを、どうしたら自らの悦びにできるのか。その答えは、この世の恋人たちの数だけあるのだろうか。

 浴室を出て体を拭き、ベッドで互いの性器を舐め合った。カーテンは閉めていたが、玄関のドアの隙間から吹き込んでくる風が、その端を外に向けてふわりと持ち上げた。そして次は、引き戸からの風が逆方向にカーテンを押し上げる。

 陽が傾いてから、食事の材料を買いに二人で出掛けた。祐一は外食にしようと言ったのだが、美子は自分で作るという。
「祐一さんは、何が食べたいの?」
「体力を誰かさんに奪われそうだから、肉にしようか」

 スーパーの中の精肉店でステーキ用の肉、八百屋で野菜類、リカーショップでワインを買い揃えてゆく。いつの間にか、二人は手を握り合っていた。冗談の合間に、時おり触れ合う肩に祐一はときめいた。今まで感じたことのない種類の、胸の高鳴りだ。

 アパートに戻った時は、日が暮れていた。肉に塩こしょうする美子の横顔を、祐一は不思議な感慨を持って見つめた。この可愛い口元が、男のモノをどんな風に咥えるのか。それを知っているのは自分だけなのだ。その歓び、そのいとおしさ。

 座卓に料理を並べた、ままごとのような食事。そのまま腕を引き寄せて、唇を重ねる。その夜、二人は幾たび交わったろう。体を触れ合わせていること、相手の肌の匂いに包まれていること。そして、相手の望みを自分のものとして、ともに楽しむこと。

 そう、まるで昔聴いたあの歌のように。
「おお、なんて夜。なんて喜びの庭。今も心の奥にたたずむ、あの甘やかな想い出」
 いつしか祐一は、声に出してその歌詞を口ずさんでいた。




「それは、誰の歌?」
 二人して繰り返し達し続けた後、明け方近くの淡いまどろみの中で、美子がそう尋ねた。裸で仰向けに横たわった祐一の肩口に、彼女は頭を乗せて寄り添っている。

「かなり昔に聞いた歌で、曲名は忘れちゃったけどね、ひとりの孤独な青年の身の上話。何故だか心に残ってる」
 物問いたげな黒い瞳を受け止めて、薄明かりの中で美子の白い肩を抱き寄せる。

「夢を求めて都会に出て来て、世間に打ちのめされた青年が、ひとりの少女に出会う。その娘はある宗教の伝道師で、彼女によって青年は救われるんだ。曲の中で彼は歌う ―― その娘が道に見えた。ぼくが生き続けてゆくための、と」

 玄関は鍵を閉めて、小窓は閉じてある。カーテンの向こうの網戸越しに、遠くを走る列車の音が聞こえてくる。
「出会った日の夜、二人は結ばれる。青年は初めてだった」
 美子の瞳が、真っ直ぐに祐一の目を見つめている。

「その次が、さっきの歌詞なんだ。 ―― なんて夜。なんて喜びの庭。気障だと思うだろうけど、今のぼくもそんな気分だ」
 不意に、目の奥から鼻の辺りが熱くなる。顔を背けて、こぼれそうになる涙を隠しながら、指先でそっと拭った。

 歌の内容とは違い、祐一は童貞ではなかった。だが、きょう初めて、本当の意味で『女を知った』気がするのだ。これまでのすべては、父の失踪で深く傷ついた自分を誤魔化そうとして、暴力で女を支配していただけだったように思える。

「そして、その少女にとっても、青年は自分を必要としてくれて、自分を解き放ってくれる『救い』だったのかも知れないわ」
 美子の声の透明な響きが、空気によってだけでなく、触れ合った皮膚を伝って、祐一の心に染み透ってゆく。

 見つめ合う二つの魂 ―― もはや祐一は孤独ではない。美子をその腕に抱き、同時に彼もまた、彼女の腕の中にしっかりと抱かれている。幸福感が、潮のように心に満ちてくる。

「今日、ミーコは仕事だろ。少しでも寝とかないと」
「うん、祐一さんも、おやすみなさい」
 肩に乗せた美子の頭の重み、肌の温もり、そして女体の甘やかな香りを心地よく感じながら、祐一はかりそめの眠りに落ちた。




 長く抱いてきた想いを解き放ち、理想の相手に巡り合えた祐一と美子。しかし、二人の周囲には様々な思惑が。この続きは、「輪姦の宴(1)」でお楽しみ下さい。




このストーリーはフィクションです。登場する団体、人物等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。のぞき、盗撮、強姦、輪姦などは犯罪です。絶対に真似をしないでください。


「恥辱の通過儀礼」のH度:

達した 感じた 面白い

性別:

男性  女性

ひとこと(省略可):

 

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